株式会社コスモ・ピーアール社長の佐藤玖美は、2019年10月18日、スマートライフケア社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーション拠点(COINS※)および公益財団法人 川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)の共催イベントに参加し、コミュニケーション戦略について講演しました。イベントでは、「グローバル化とAI時代の到来を見据えて」をテーマに複数のセミナーが開催され、医師やスマート・ナノ機器専門研究者が参加しました。
佐藤は「How to Effectively Communicate – Communication Leadership(効果的なコミュニケーション方法とは-コミュニケーション・リーダーシップ)」について講演し、COSMOのコミュニケーション・フレームワークを用いて、場当たり的な戦術を超えたヘルスケアコミュニケーションの戦略を策定する方法について説明しました。まず、ヘルスケアにおけるコミュニケーション課題に取り組む上で、COSMOでは「アンブレラ・フレームワーク(傘型のフレームワーク)」を活用することを紹介ました。
COSMOでは、ビジネス・ゴールを実現するコミュニケーション・ゴールを明確にし、それに基づき、戦略的インペラティブ(戦略の遂行に不可欠な要素)を含めた戦略を策定します。そこから、それぞれの戦略的インペラティブを達成する具体的な戦術を採択します。戦術は多くの場合、キャンペーンの中で最も注目を引く側面ですが、COSMOのフレームワークを活用することで、コミュニケーション戦略の各要素を確実に最終的コミュニケーション・ゴールに繋げ、効率的かつ合理的なコミュニケーションを可能とします。
続いて、佐藤は自著「コミュニケーション・リーダーシップ」で紹介している「DDERマトリックス」について解説しました。DDERとは、コミュニケーション・ゴールを成功裏に導くためのコミュニケーション戦略を「Drive」「Differentiate」「Enhance」「Reposition」という4つのアプローチに分けて定義づけたもので、次の表のようにまとめられています。
コミュニケーション戦略における活用例:
- ドライブ(Drive):拡大戦略。新しい医療機器を上市する際に活用。特定のステークホルダーに照準を合わせ新製品の価値を発信。
- 差異化(Differentiate):差異化戦略。既に競合製品が上市している際に活用。革新的な新薬を既存製品と差別化。
- エンハンス(Enhance):付加価値戦略。潜在的ステークホルダーに対し価値を訴求する際に活用。
- リポジション(Reposition):位置替え戦略。訴求対象の観点を変える際に活用。例えば憶測よりも根拠のある事実を重視するよう誘導。
佐藤のコミュニケーション戦略に関する講演に加え、元武田薬品工業株式会社研究本部VP Chief of Staffの吉田長弘先生が、「Impact of Globalization on Human Resource Development(人材開発のグローバル化による影響)」について講演し、日本特有の文化的側面について取り上げました。吉田先生は参加者に対し、意欲的な目標を設定し、キャリア開発の上でメンターを活用することを推奨しました。また、イベント中、積極的に意見を共有し、英語を活用するよう促しました。
戦略的コミュニケーションや積極的な参画について学んだ後、参加者はiCONMとCOINS海外市場におけるPR戦略の策定にチャレンジしました。参加者はいくつかのグループに分かれ、それぞれ異なる国について検討しました。各グループは、それぞれが担当する国にナノ機器を上市する際に直面する課題についてブレインストーミングを行い、PR戦略や戦術を策定。演習の結果、各国におけるナノ機器の上市方法について斬新で洞察に満ちたアイデアが得られました。
※COINSは、将来の社会ニーズを先取りし、国内外の大学や企業が最先端の技術、人材、アイデアを持ち寄ることで「未来を変える製品・サービス」を開発する全く新しい発想の研究拠点です。