近年、気候変動に伴う気温上昇を原因とする健康被害が、急増しています。欧州では昨年、記録的熱波により、6万人を超える死亡者数を記録。アフリカでは、洪水や干ばつといった気候災害の急増に伴い、栄養状態の悪化と感染症の蔓延が懸念されています。日本も例外ではありません。環境省が運用する「熱中症警戒アラート」の発表回数は、毎年上昇を続けており、今年は運用開始以来、初めて1千回を突破。熱中症で救急搬送される人も、後を絶ちません。今回のニュースレターでは、筑波大学体育系名誉教授の本田靖先生に、気候変動がもたらす健康リスクと、私たちが知っておくべき知識、ヘルスケア産業に求められる対応などについてお伺いしました。
Healthcare
環境とヘルスケア:PFASをめぐる動きを知る~ヘルスケア産業は、この問題にいかに向き合うべきか~
PFAS(ピーファス)という物質をご存知ですか? PFASは、人工的につくられた有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじき、熱、薬品、紫外線に対して強い耐性を持つことから、撥水剤・乳化剤・消火剤・包装材表面加工など、様々な用途に幅広く活用されています。その一方、高い安定性を持つがゆえに、自然界に放出されるとほとんど分解されることなく残留し続けることから、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。PFASの一部について、長期的な体内曝露によりヒトの健康を損なうリスクが高いことが判明しています。近年では米国や欧州を中心に、より厳しい規制を進めようとする動きも加速しています。今回のニュースレターでは、京都大学大学院医学研究科・環境衛生学准教授の原田浩二先生に、PFASに関する基礎知識、PFASをめぐる国内外の動き、ヘルスケア産業に求められるPFASに対する取組みなどについてお伺いしました。【原田先生の略歴は、後掲を参照ください】
希少・難治性疾患の課題解決に向けたステークホルダー間の連携
~患者さん・医療関係者・製薬企業が共に行動する時代に~
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」では、国内の患者数が5万人以下の疾患を「希少疾患」と定義しています。近年、日本を含む世界各地で患者団体を中心とした希少・難治性疾患に関する啓発活動が展開されており、製薬企業も積極的な情報提供や新薬開発に乗り出しています。着実に前進している希少・難治性疾患領域への取り組みですが、いまだ多くの課題が山積しているのも事実です。今回のニュースレターでは、「希少・難治性疾患領域における全ステークホルダーに向けたサービスの提供」を目的として活動を続ける特定非営利活動法人ASrid(アスリッド)の西村由希子理事長に、今日の希少・難治性疾患における課題と、わたしたちが目指すべき「ネクストステップ」についてお話を伺いました。【西村さんの略歴は、後掲を参照ください】
~患者さん・医療関係者・製薬企業が共に行動する時代に~
女性のメンタルヘルス医療現場からの提言を聞く
~メンタルヘルスに不調を抱えている人へのサポーティブな対応は重要です~
従来から、女性は男性の2倍うつになりやすいといわれています。その要因は、女性ホルモンの変動から生じる精神的不安、いまだ女性が働きにくい日本の労働環境、家庭内の人間関係から生じる葛藤、幼少期に受けたトラウマの記憶まで、多岐に渡ります。さらに、ここ数年続いている新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて、女性のメンタルヘルスはさらに悪化しているとの報告もあります。もし家族や職場などで自分の身近な人のメンタルヘルスの悪化が疑われる場合、私たちはどのように対応すべきなのでしょうか?今回のニュースレターでは、長年女性のメンタルヘルスに携わってこられた代々木の森診療所・織戸宣子先生に、女性のメンタルヘルスを巡る問題と具体的な対応策について、お話を伺いました。【織戸先生の略歴は、後掲をご参照ください】
~メンタルヘルスに不調を抱えている人へのサポーティブな対応は重要です~
日本における女性のメンタルヘルスの現状を考える
~コロナ禍で増大した課題に、いかに対応するか~
現在進行中の新型コロナウイルス感染症の蔓延は、日本における女性のメンタルヘルスの悪化と、自殺の増加という、新たな問題を引き起こしています。その背景には、家庭内暴力の増加、家事・育児・介護などの家庭内労働の負担の増加、失職や収入減など経済的な負担の増加などがあると考えられています。
性差の問題の解消に向けては、女性が脆弱な立場に置かれているという構造的な問題にメスを入れると同時に、ジェンダー平等に向けてはただ「かわいそうな立場の女性を救う」という視点だけでなく、実は男女ともに生きづらい社会が隠れているという認識が必要です――。そう指摘するのは、日本医療政策機構シニアマネージャーの坂元晴香先生です。たとえば、家庭内労働が、女性側に押し付けられがちなのは、その背景に「男は外で汗水流して働くものだ」という旧態依然な思いこみがあって、男性が仕事より家庭内労働を優先することに、否定的な社会の存在があると指摘。女性の側は家庭内労働を押し付けられる一方、男性を長時間労働に従事させることを許容している社会があり、そのような社会は男女ともに生きづらい社会であると訴えます。
~コロナ禍で増大した課題に、いかに対応するか~
日本における女性の健康
~フェムテックがウィメンズヘルスに果たす役割を考える~
今回のニュースレターでは、女性の健やかな毎日に貢献するフェムテックに関し、特に以下に着目してお届けします。
- 女性の健康にまつわる活発な意見交換の奨励
- 当分野の専門家の知見
- 日本における革新的なソリューション
- 女性の健康を促進する様々な成果
- 今後の展望
「地域社会の強さは、そこに住む女性の健康いかんです」-ミシェル・オバマ氏(※1)がみごとに言い表しています。女性の心身の健康は地域社会と密接にかかわる、社会の真価を測るバロメーターとも言えるでしょう。
株式会社コスモ・ピーアール(以下、COSMO)の代表取締役社長である佐藤玖美は、「ウィメンズヘルスは、もっと注力されるべき分野であり、改善の余地が多く残されています。女性が早期診断と適切な治療を受けるために、この分野における診断薬と医療機器の進歩はますます重要になっていくでしょう」と述べています。
~フェムテックがウィメンズヘルスに果たす役割を考える~
COSMO Healthcare Interview:“Japan in 10 Minutes”
No. 2: 坪倉正治先生
COSMO Healthcareは、日本の医療情報や業界動向を英語で発信するインタビューシリーズ “Japan in 10 Minutes”の第2弾として、「PCR検査と抗体検査」をテーマに、ひらた中央病院の非常勤医師である坪倉正治先生にお話しを伺いました。
企業のrelevanceを考える
―「ウイズ・コロナ」「ポスト・コロナ」時代の
コミュニケーション戦略-
1.パラダイム・シフトは起きるのか?
新型コロナウイルスによる感染爆発の第一波がようやくピークを過ぎ、主要国では徐々にロックダウンが解除され、「ウイルスと共存する日常」が始まろうとしています。我が国においても全国に発令されていた緊急事態宣言が、5月14日、39県において解除されました。この間、感染拡大防止の観点から、多くの活動が自粛要請の対象となり、制限を受けることとなりましたが、私たちの生活や企業活動、教育、さらには政治のあり方に至るまで、「コロナ後、劇的な変化(パラダイム・シフト)が起きるのではないか」と見る専門家もいます。確かに、キャッシュレス化、ネット通販、テレワーク、ペーパーレス、オンライン授業、オンライン診療などなど、これまでも導入、普及の必要性が叫ばれていながら、遅々として進まなかった変革が、コロナ危機を契機に我が国においても一気に進展する予兆のようなものを感じられるようになりました。
COSMO HealthcareのYouTubeチャンネルを開設
~第1弾 “COSMO Healthcare Special Interview – Japan in 10 Minutes”
COSMO Healthcareでは、この度、様々な医療情報や業界動向を発信するYouTubeチャンネルを開設いたしました。
EyeforPharma Patient Summit USA:患者エンゲージメントに関するインサイト
患者中心医療実現の最前線で活躍するチェンジ・メーカーとのインタビュー
COSMOシニア・コンサルタント安川瑛美が、10月2日~3日に開催されたEyeforPharma Patient Summit USAについて報告します。米国フィラデルフィアで2日間にわたって開催されたEyeforPharmaのサミットでは、製薬企業各社や患者団体が業界の発展に向けて意見交換が行われました。
患者中心医療の実現に向けて活動を展開する3名の方にインタビューし、各氏より患者エンゲージメント活動に関する示唆を得ることができました。
- 業界風土は「患者さんのために」から、「患者さんと共に」へ変化しつつある
「患者の直接的な関与がない(患者側にヒヤリングが実施されないなど)研究活動は、患者ニーズにそぐわないものになる傾向がある」と発言している複数の患者団体代表の方々に出会いました。開発プロセス全体を通して患者さんが関わることは製薬・患者団体双方にとって良いことであると、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者であり、US COPD Coalitionのディレクターを務めるジョン・リンネル氏は提起します。
COPD患者活動に関するリンネル氏へのインタビューを読む » - 従業員エンゲージメントと患者エンゲージメントにはシナジーがある
患者中心志向を社内でどのように普及し始めればいいかについて、サミット参加者への調査では、圧倒的に(参加者の7割)、患者中心志向はトップダウンのアプローチで始まり、その後ボトムアップで育むものとの回答でした。
フランスの製薬会社であるServier GroupのChief Patient Affairs Officerであるロード・ドゥウルフ医師は、患者エンゲージメントを社内で組織的に促進する上で、標準化されたアプローチをとらないことが重要だと、ご自身の経験や気づきに基づいて話します。
ロード・ドゥウルフ医師のChief Patient Officerとしての視点について読む » - 患者エンゲージメント活動には、患者さん以外の人もかかわってくる。患者さんの家族、患者団体、医療従事者、介護者、そして地域社会もかかわる。
NPO患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会の代表理事である畑中和義氏は、患者さんにとってより良い医療が提供できる環境を整えることを目指して活動されています。畑中氏のNPO組織は日本における患者中心医療の輪を広める活動に努め、また、患者、患者団体、製薬会社、および医療従事者間のコミュニケーション向上を図るための実践に踏み込みます。
日本の患者エンゲージメント活動に関する視点を読む »
患者中心医療実現の最前線で活躍するチェンジ・メーカーとのインタビュー
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者参画
-患者中心医療実現の最前線で活躍するチェンジ・メーカーとのインタビュー-
リンネル氏は、2005年、50歳の時にCOPDと診断され、現在では米国内および国際的に数多くの患者活動の役割を担う。
US COPD Coalition、Emphysema Foundation for our Right to Survive (EFFORTS)、およびCOPD FoundationのPatient Powered Research Networkの理事会で委員を務め、米国国防省のPeer Reviewed Medical Research Programでは患者査読者として数年間活躍。ジョンズ・ホプキンズ大学医学部のPatient-Centered Outcomes Research Instituteが資金提供をしている研究”Impact of a Peer Support Program Amongst COPD Patients and Their Caregivers”にも参画。研究結果は、医学雑誌に掲載予定。
EyeforPharma Patient Summitでリンネル氏は、氏が数年にわたってかかわってきたアストラゼネカ社によるCOPD患者対象のPatient Partnership Programについて発表した。リンネル氏にCOPDの患者参画活動とその活動の日本人患者にとっての示唆についてお聞きした。
日本におけるPatient-Centricity活動の展望について
-患者中心医療実現の最前線で活躍するチェンジ・メーカーとのインタビュー-
1968年から2006年まで、製薬会社(山之内製薬・アステラス製薬)勤務。(株)畑中ファーマ・コンサルティング代表、香川大学大学院地域マネジメント研究科教授、東邦薬品監査役等を歴任。2014年より「全てのサービスは患者のために」をミッションとするNPO法人JPPaC理事長。NPO活動を通じて、難病・がんサバイバーなどの方々などから、「患者」とは、「患者中心の医療」とは、を学んでいる。
所属:
- NPO法人 患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会(JPPaC)理事長
- 日本経済大学大学院ファーマシーマネジメント研究所特任教授
Q: NPO JPPaCは、日本で開催されるeyeforpharmaに参加している患者アドボカシー団体と伺います。JPPaCでの取り組みについて、そして、日本の患者アドボカシー団体として、 「なぜいま」 patient-centricityの重要性を再認識し、実践に移す必要性があるとお考えですか?
患者中心の医療に向けた組織風土変革の加速
-患者中心医療実現の最前線で活躍するチェンジ・メーカーとのインタビュー-
ロード・ドゥウルフ氏は、医薬品開発における患者参画のアドバイザリーを行う国際的なリーダー。現在、非営利財団が運営するグローバル製薬企業Servier社でChief Patient Officerを務める。
医師として臨床に携わっていたころ、患者のより良いアウトカムを達成するには、患者と家族とのエンゲージメントは少なくとも医薬品と同等の重要性があることに気づき、医学の教育を通じて幅広く貢献するため、1989年に製薬業界に参画。10年後、質の高い医療情報を提供する手段としてインターネットが普及するようになり、長期休暇を取得して欧州初のヘルスケアサイト「PlanetMedica」を共同開設。その後、製薬企業のメディカルアフェアーズ領域において、グローバルな役員職を歴任。2012年にはUCB社のChief Patient Affairs Officerに就き、業界初の患者関係担当の役員となった。
現在、ボランティア活動として、個人の患者さんをサポートし、民間・公的機関に対し患者エンゲージメントに関するアドバイスを行っている。
グローバルヘルスフォーラムで途上国の保健医療問題を熱く議論
株式会社コスモ・ピーアールは2018年2月22日、東京アメリカンクラブで、米ワシントンの非営利活動法人「マネージメント・サイエンス・フォー・ヘルス」(以下、MSH社)と共催により、「グローバル・ヘルス・フォーラム~グローバルヘルスのフロンティア『アクセス・トゥー・メデイスン』を超えて」を開催しました。医療関係者や製薬業界関係者、研究者、学生、外務省職員など約60人が参加して、開発途上国における医薬品や医療サービスのアクセスの問題をめぐり、活発な議論が行われました。
キーノートスピーカーとして、MSH社の社長兼CEOであるマリアン・ウェントワース氏と、同社の保健医療技術担当シニアディレクターである穂積大陸氏が、世界の低・中所得国における健康問題や医療技術の導入、保健システム、医薬品の安全供給などをテーマに講演。会場からは多くの質問が出て、この問題への関心の高さがうかがわれました。
開発途上国における医薬品やサービスへのアクセスの問題には社会的に大きな関心が向けられ、日本企業の積極的な参加も加速しています。コスモとMSH社では、今後も開発途上国における保健医療問題をテーマとするフォーラムを継続的に開催していく予定です。
コスモがICCO独立エージェンシー賞にノミネート
株式会社コスモ・ピーアールは、国際コミュニケーション・コンサルティング協会(the International Communications Consultancy Organization=ICCO、本部:英国ロンドン) によるグローバル賞の年間最優秀独立エージェンシー賞(2017 Independent Consultancy of the Year)にノミネートされました。ICCOによるPR賞ノミネートリストについては、こちらをご覧下さい。